最近、夜は良く眠れていますか。今年の夏も暑さが厳しくなると思うと昨年の寝苦しい夜を思い出してしまいます。眠りの浅い日が続くと昼間の生活に支障をきたしやすくなりますよね。
 
 ところで、睡眠時無呼吸症候群って聞いた事ありますか。2003年2月26日、山陽新幹線の運転士(当時33歳)が、居眠りをしたまま「31キロ」運転し、岡山駅で緊急停車していたことが発覚しました。幸い大きな事故には繋がりませんでしたが、後にこの運転士が「睡眠時無呼吸症候群」だったことが分かり、聞きなれない病状が大きく報道され、注目されるようになりました。ということで今回は


睡眠時無呼吸症候群って何?


いびき「お父さんいびきが凄くてさぁ、うるさいなぁと思っていると、時々息が止まっているみたい。あれ!どうしたんだろうと思っていると、いきなりガ〜って大きないびきになるのよ。その度にビクッとして目が覚めるもんだから、もう隣に寝てられないのよ。そのくせ昼間はウトウトしてるんだから」と母親から相談を受けたのが、かれこれ半年前の事。試しに隣で一晩寝てみたが、とてもではないが、朝までもたずに退散した。
 インターネットで調べて、専門外来のある病院の呼吸器科を受診した。検査の結果、睡眠時無呼吸症候群の診断で、現在CPAP(シーパップ)療法[持続陽圧呼吸療法]という治療をしている。

 それでは、私の父親の治療導入の経験を参考にしながら調べていきましょう。


● 睡眠時無呼吸症候群とは(Sleep Apnea Syndrome :SAS)

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、文字通り睡眠中に呼吸が止まり、それによって日常生活に様々な障害を引き起こす疾患です。SASの重症度は、AHI(Apnea Hypopnea Index)=無呼吸低呼吸指数で表し、一晩の睡眠を通して、1時間あたりの無呼吸数や、低呼吸(呼吸が浅くなる状態)の頻度をもとに診断していきます。このAHIが5回以上認められ、日中の眠気などの自覚症状がある場合、SASと診断されます。AHIが5〜15回が軽症、15〜30回が中等症、30回以上が重症とされています。

 SASの病態の多くは空気の通り道(気道)が塞がる又は狭くなることによって起こる
閉塞型睡眠時無呼吸症候群(以下閉塞型SAS) です。
※その他に
中枢性睡眠時無呼吸症候群=呼吸中枢の障害により呼吸運動が消失するもの 
混合性睡眠時無呼吸症候群=閉塞型と中枢型の混合したもの 
があるそうです。ほとんどは閉塞型で中枢型は少ないとの事です。

 


● 閉塞性SASの主な症状

  • いびきをかく

いびきは、睡眠中の空気の通り道(気道)が狭くなり、そこを空気が通る時にのど(咽頭)が振動することによって生じる音です。つまりいびきをかくということは、気道が狭くなっている証拠といえます。

寝汗
  • 寝汗をかく、寝相が悪い、何度もトイレに起きる・・・

 閉塞型SASでは、無呼吸の間はいびきが止まり、その後あえぐような激しい呼吸や大きないびきで呼吸が再開するのが特徴です。あえぐような呼吸をすることによって、寝相が悪かったり寝汗をかいたりもします。また夜中に何度もトイレに起きるといったこともあります。

  • 倦怠感や頭が重い・・・

 呼吸が止まっている間は、酸欠を起こしているような状態になります。そのため朝の起床時に頭が重いといったことも起こります。休むための睡眠が、無酸素運動をしているのと同じような状況になってしまっていますから、全身の倦怠感や不眠といったことにも陥ることがあります。

寝汗
  • 日中の眠気・・・

 SAS患者さんは、無呼吸から呼吸を再開させる度に脳が覚醒状態になるため睡眠が分断されてしまいます。この脳の覚醒は、本人に起きたという自覚がありません。しかし脳の覚醒により、深い睡眠が得られなかったり、夢を良く見るといわれるレム睡眠がこまぎれになったりします。7時間ベッドに入っていたとしても、SASによって睡眠が分断されていると、睡眠時間が不足しているのと同じ状態になります。

 


    ● なぜ気道が狭くなるのか?

    気道閉塞

    健常人であっても仰向けで寝ると重力により、舌や軟口蓋が気道を狭くしています。又、睡眠という状態では、筋の緊張も緩んでしまいます。①筋力の低下(加齢)、②舌が重い(肥満)、③顎が後退している、扁桃肥大がある、軟口蓋が長い(形態的問題)といったことでも気道が狭くなったり、塞がってしまいます。 又、④口呼吸になっていると舌は落ち込みやすくなります。


    簡易検査

    ● SASの検査

    ◆ 簡易検査
     SASの疑いがある場合には簡易検査を行います。
    呼吸の状態や血中の酸素の状態などを測定し、睡眠呼吸障害の程度(AHI)を求めることができます。AHIが40以上で眠気などSASの症状が明らかな場合、CPAP療法の対象となります。AHIが40未満であれば、さらに精密検査(PSG検査)が必要です。

    ※私の父親の場合、簡易検査を自宅で行い、AHIが35回でしたので、入院して精密検査を行うことになりました。

    ◆ポリソムノグラフィー(PSG検査)

    入院して確定診断を行います。様々なセンサーを取り付け、実際の睡眠の質(眠りの深さや分断の状態)の評価をします。又、睡眠中の行動異常、不整脈などの評価も行い、他の睡眠障害、合併症の有無について診断します。AHIが20以上でCPAP療法の対象となります。

    ※の父親の場合、いろいろなセンサーを装着しましたので若干煩わしい様子でした。一泊入院で実施しました。後日の診察でAHIが57回でした。重症の分類に入り、CPAP療法の対象となりました。CPAP治療導入の為、再度一泊入院となりました。

     


    ● CPAP(シーパップ)療法(持続陽圧呼吸療法)とは?

    cpap装置

    CPAP療法は、CPAP装置からホース、マスクを介して、処方された空気を気道に送り、常に圧力をかけて空気の通り道が塞がれないようにします。装置は至って簡単で右の写真のように、真ん中にある本体からホース、マスクが繋がっています。右側の電源アダプターを家庭用電源に入れます。酸素を使う訳ではなく、空気を送るので危険性はありません。

    ※私の父親の場合、空気が送られてくるので呼吸が合わないと風を強く感じてしまう事があります。呼吸が合っていると装着しているのもわからない程です。


    ●  CPAP ( シーパップ ) 療法(持続陽圧呼吸療法)の効果

    cpap装着CPAP療法を適切に行う事で、睡眠中の無呼吸やいびきが減少します。治療を続けることによって眠気がなくなる、夜間のトイレの回数が減るといったSASの症状の改善が期待されます。又、CPAP療法による降圧(血圧を下げる)効果の報告もあります。しかし、慣れるのに何カ月もかかる場合もあります。

     CPAP療法は検査を行い一定の基準を満たせば健康保険の適応となります。その場合には定期的(月1回)な外来受診が必須となります。装置本体にICカードが入っており使用状況が記録されます。通院時に毎回カードを持参して医師に使用状況を解析してもらいます。装置は健康保険を利用したレンタルとなります。通院時の費用は1割負担で1500円程度となります。

    ※私の父親の場合、導入開始後初回の通院で57回あったAHIが4回となりかなり無呼吸が改善されています。昼間の居眠りが大分少なくなったようです。


    睡眠時無呼吸症候群をそのまま放置すると、酸欠状態により、心臓や血管に負担がかかり、さまざまな合併症を引き起こす可能性が高いようです。詳しくは専門医にご相談下さい。
                           「参考資料:フィリップス・レスピロニクス合同会社 SASガイドブック」