平成25年5月5日の読売新聞 :厚生労働省は、介護保険制度で「要支援」と認定された軽度者向けのサービスを見直す方針を決めた。要支援者を介護保険サービスから外し、ボランティアなどを活用した市町村の事業で支援する方向で具体策を検討する。介護費用の増加を抑え、市町村や高齢者の実情に応じた支援策を充実させる狙いがある。軽度者向けサービスの見直しについては、政府の社会保障制度改革国民会議が4月22日にまとめた医療・介護分野の論点整理でも、「保険給付から市町村事業に移行すべきだ」と提案されている。という記事がゴールデンウイーク中に発せられた。その後厚生労働大臣はマスコミの対応に苦慮していたが、記事の中にも登場している政府の社会保障制度改革国民会議って一体何なんでしょうか? 
ということで今回は社会保障制度改革国民会議って何?

 


● 社会保障制度改革国民会議設置の経緯
 社会保障の充実・安定化と、そのための安定財源確保と財政健全化の同時達成を目指すものとして、「社会保障・税一体改革大網」(平成24年2月17日閣議決定)が策定された。政府公報によると、2015(平成27)年10月に消費税を10%に引き上げるなどの「税制抜本改革」を実施し、増収分を財源に、社会保障の充実と安定を図るとしている。これに関連し、2012(平成24)年8月22日「社会保障制度改革推進法」が交付され、同日施行されている。社会保障制度改革のために必要な法制上の措置は、この法律の施行後1年以内に、社会保障制度改革国民会議』における審議の結果等を踏まえて講ずるものとされている。それにより、衆議院解散後の同年11月末に設置され、今年の8月21日がちょうど1年で設置期限となっている。
※平成24年11月30日に第1回の社会保障制度改革国民会議が開催され、平成25年6月24日までに16回開催されている。残り2カ月弱で設置期限となり、主な方針が決定することとなる。
どんなことが審議されているのでしょうか?会議は15名の有識者で構成されている。

それでは、いったいその会議ではどんな事が審議されているのでしょうか?
まずは会議の設置根拠となっている社会保障制度改革推進法について調べてみましょう。


● 社会保障制度改革推進法とは?
第一章 総則 (目的)

社会保険料に係る国民の負担の増大第一条 この法律は、近年の急速な少子高齢化の進展等による社会保障給付に要する費用の増大及び生産年齢人口の減少に伴い、社会保険料に係る国民の負担が増大するとともに、国及び地方公共団体の財政状況が社会保障制度に係る負担の増大により悪化していること等に鑑み、所得税法等の一部を改正する法律(平成二十一年法律第十三号)附則第百四条の規定の趣旨を踏まえて安定した財源を確保しつつ受益と負担の均衡がとれた持続可能な社会保障制度の確立を図るため、社会保障制度改革について、その基本的な考え方その他の基本となる事項を定めるとともに、社会保障制度改革国民会議を設置すること等により、これを総合的かつ集中的に推進することを目的とする。


● 基本的な考え方 
第二条 社会保障制度改革は、次に掲げる事項を基本として行われるものとする。
 一 自助、共助及び公助が最も適切に組み合わされるよう留意しつつ、国民が自立した生活を営むことができるよう、家族相互及び国民相互の助け合いの仕組みを通じてその実現を支援していくこと。

  • 自助:自分の事は自分でする、自らの健康管理、市場サービスの購入
  • 共助:介護保険に代表される社会保険制度及びサービス
  • 公助:一般財源による高齢者福祉事業等、生活保護、人権擁護・虐待対策

 二 社会保障の機能の充実と給付の重点化及び制度の運営の効率化とを同時に行い、税金や社会保険料を納付する者の立場に立って、負担の増大を抑制しつつ、持続可能な制度を実現すること。
 三 年金、医療及び介護においては、社会保険制度を基本とし、国及び地方公共団体の負担は、社会保険料に係る国民の負担の適正化に充てることを基本とすること。
 四 国民が広く受益する社会保障に係る費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合う観点等から、
  社会保障給付に要する費用に係る国及び地方公共団体の負担の主要な財源には、消費税及び地方消費税の収入を充てるものとすること。
財源は消費税!


● 具体的には何が審議されているのか?

大きく分けて下記の4つの項目について審議されている。
まずは、医療保険制度に基づく医療の改革、介護保険制度に基づく介護の改革、公的年金制度に基づく年金の改革少子化対策と多岐に及んでいる。
 現在までのところで、どんな議論になっているのか、簡単にまとめてみた。

 


■ 医療・介護分野  基本的な考え方(抜粋)
・「必要な時に適切な医療を適切な場所で最小の費用で受ける」医療に転換すべき。

  • 「病院で治す」医療から超高齢化社会に合った「地域全体で、治し、支える医療」へ転換することが必要である。
  • 社会保障と人口動態、経済、産業、雇用の関係性と今後の方向は、地域ごとに異なっており、そのあり方は地域毎に考えていく必要がある。
  • 地域医療を守るためには、地域医療連携体制の整備と国民皆保険を最終的に支える「医療保険における最後のセーフティネット」である国民健康保険のあり方を一体的に検討すべき。
  • 消費増税に見合った社会保障改革が行われるかが重要であり、医療・介護1.6兆円の充実・効率化それぞれの内容を明らかにすべき。

介護サービスの効率化及び重点化 (抜粋)

  • 医療の機能分化のためには、しっかりした地域包括ケアを構築すべき。介護施設利用の適正化のためにも町のインフラ作りの全体的な取り組みが必要。介護は、24時間巡回型介護、訪問看護などで、重度要介護者の在宅生活限界点を高めるべき。サービス付き高齢者住宅(住まい+生活支援等)を整備し、そのため、空き家・空き施設など既存社会資源を有効活用すべき。
  • 介護について重点化・効率化が求められており、骨太の方針を示すべき。
  • 継ぎ目のない「医療」「介護」システム構築の観点からの医療・介護の自己負担・利用者負担の整合性が必要。70—74歳の現役並み所得の医療費自己負担3割。ところが、介護に移行すると利用者負担1割。他方、75歳以上の高齢者では「医療」から「介護」へ移行しても1割負担のままであり、全体の整合性を確保していくべき。
  • 軽度の高齢者は、見守り・配食等の生活支援が中心であり、要支援者の介護給付範囲を適正化すべき。具体的には、保険給付から地域包括ケア計画と一体となった事業に移行し、ボランティア、NPOなどを活用し柔軟・効率的に実施すべき
  • デイサービスは、重度化予防に効果のある給付への重点化などが課題。
  • 地域の助け合い活動引退後の引きこもりを予防し、地域の人的資源として活躍を促進するため、自治体による各種サポーター要請講座の提供、地域貢献活動の紹介により、地域の助け合い活動を拡大し、保険のカバー範囲を見直すべき。
  • 特別養護老人ホームは中重度者に重点化。軽度者を含めた低所得高齢者の住まいの確保が新たな課題。

軽度高齢者の新たな受け皿の整備が重要!


■ 年金分野 基本的な考え方(抜粋)
  • 年金制度改革の課題は、長期的な持続可能性をより強固にすることと、社会経済状況の変化に対応したセーフティネット機能を強化することと整理できる。一見相反するこれらの課題をいかに調和させていくかという観点が重要。
  • 年金本来の機能を発揮できない状況になっているのは世界的に共通。この原因は①経済成長が停滞し、賃金が増加しない状況になってきていること、②少子高齢化が進み、人口構造が変化してきていること、③世代間の信頼関係、連帯が動揺し始めていることにある。世代間の信頼を再創造する営みが必要。

■ 少子化対策分野 基本的な考え方(抜粋)

  • 少子化の問題を解決するためには、子ども・子育て支援新制度は大きな一歩だが、それだけでは十分ではなく、危機感を持ってさらなる政策を講じる事が必要。子どもを産み育てにくい要因を除去し、出産の希望の実現を応援することが大切なのはもちろんのこと、家族や企業、地域の力が低下していく中で、「少子化は困るから対策を講じる」という視点ではなく、「子育ては大切だから社会全体で支援する」との視点に立って、両立支援と社会サービスをパッケージにした次世代育成政策、日本型の家族政策を確立・実施していくことが重要。

各分野が社会保障全体に重要な関わりを担っており、将来の指針となるものである。

詳しくは社会保障制度改革国民会議の開催状況をご参照下さい。