前回は、平成27年4月の介護保険制度の改正により、介護保険サービスのうち、介護の必要度が比較的低いとされる「要支援」向けの介護予防サービスの一部である訪問介護通所介護について、自治体の地域支援事業の中の新しい介護予防・日常生活支援総合事業に移行することをお伝えしました。今回は、それに伴い、介護サービスの利用手続きが見直しされること、包括的支援事業の充実について調べていきます。
ということで、今回は、要支援者の総合事業って何?②


● 介護サービスの利用手続きの見直しについて

 現在、介護サービスを利用するには、まず申請をして、介護サービスが必要かどうか、認定を受けます。その認定結果をもとに、どのようなサービスを利用するかケアプランを立てて、介護サービスを利用していきます。

今回の見直しでは、右の図のように、まず申請ではなくて、チェックリストというものが加わりました。

 市町村の窓口相談で、明らかに要介護認定が必要と判断できる場合、明らかに介護予防・生活支援サービス事業の対象外と判断できる場合をのぞき、チェックリストを用いることになります。

介護サービス利用の手続き


● チェックリストとは?


 地域包括支援センターや市町村窓口において、生活の困りごと等の相談をした被保険者に対して、基本チェックリストを実施し、利用すべきサービスの区分一般介護予防事業、サービス事業及び給付)の振り分けを行うことになります。

 基本チェックリストの質問項目及び基準については、改正前の二次予防事業対象者の把握として利用していたものと変わらないものとし、右下の<表8:事業対象者に該当する基準>に該当する者について、地域包括支援センター等において介護予防ケアマネジメントを実施する。
その際、対象者の基準については「閉じこもり」「認知機能の低下」「うつ病の可能性」を判断する項目についても活用する。実施に際しては、本人等に記入してもらう。

市町村窓口においては、必ずしも専門職でなくてもよい。基本チェックリストの活用・実施の際には、質問項目と併せ、利用者本人の状況やサービス利用の意向を聞き取った上で、振り分けを判断する。
※専門職が望ましい!

 

 

基本チェックリスト

 基本チェックリストのチェック内容は、本人の状態に応じて変化するため、一般介護予防へ移行した後や、一定期間サービス事業の利用がなかった後に、改めてサービス利用の希望があった場合は、再度基本チェックリストを行い、サービスの振り分けから行う

 なお、基本チェックリストの活用・実施により、要介護認定等の申請が必要と判断した場合は、認定申請を受け付ける。また、要介護認定等の申請とサービス事業の利用を並行して進める場合や、事業対象者として介護予防ケアマネジメントを行っている中で要介護認定等申請を行う場合もある。

 被保険者証には、事業対象者である旨、チェックリスト実施日、担当地域包括支援センター名を記載する。また、セルフマネジメントの推進のため、本人の介護予防に関する情報が集約されたものとして、「介護予防手帳(仮称)」を作成し、被保険者証への記載事項の代用とすることも可能とする。

 サービス事業利用のための手続きは、原則、被保険者本人が直接窓口に出向いて行う。ただし、本人が来所できない(入院中である、相談窓口が遠い、外出に支障がある等)場合は、電話や家族の来所による相談に基づき、本人の状況や相談の目的等を聴き取る
このような場合における基本チェックリストの活用・実施については、本人や家族が行ったものに基づき、介護予防ケアマネジメントのプロセスで、地域包括支援センター等が本人の状況を確認するとともに、事業の説明等を行い、適切なサービスの利用につなげる。

 居宅介護支援事業所等(ケアマネジャーの事業所)からの代行によるチェックリストの提出も可とするが、本人が来所出来ない場合と同様の扱いとする。


  • 包括的支援事業の充実について
地域支援事業の中には、右の図のように、新しい介護予防・日常生活支援総合事業の他に、包括的支援事業、任意事業があります。包括的支援事業について調べていきましょう。

◯ 地域包括支援センターの運営
 介護予防ケアマネジメント、総合相談支援業務、権利擁護業務、ケアマネジメント支援の事業があります。今回、地域ケア会議の充実が追加されました。
地域ケア会議とは?
地域包括支援センターが主体となり、個別ケースについて多職種や住民で検討を行うことで、ケアマネジメントの実践力を高め、地域課題を共有し、課題解決に向け、関係者のネットワークの構築や資源開発、施策化を図っていくことを目的としています。

◯ 在宅医療・介護連携の推進
 在宅医療・介護の連携推進業務は、医療と介護の両方を必要とする状態の高齢者が、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、在宅医療と介護サービスを一体的に提供するために、居宅に関する医療機関と介護サービス事業者などの関係者の連携を推進することを目的としています。市区町村が主体となり、郡市区医師会等と連携しつつ、取り組んでいきます。

地域支援事業

◯ 認知症施策の推進(認知症初期集中支援チーム、認知症地域支援推進員 等)
 認知症の人が可能な限り住み慣れた地域で生活を続けていくための施策、認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)は、平成25年度から平成29年度までの5年間の計画として、必要な医療や介護サービス等について数値目標を定めており、これらを踏まえ、平27年度からの第6期介護保険事業(支援)計画に関する基本的な指針案では、認知症初期集中支援チーム、認知症地域支援推進員の設置等について、平成30年4月からの全市町村での実施を目指しています。

◯ 生活支援サービスの体制整備(コーディネーターの配置、協議体の整備等)
 地域支援事業の生活支援体制整備事業の活用などにより、市町村を中心とした支援体制の充実強化を図り、地域全体で多様な主体によるサービス提供を推進していく。
生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)」や「協議体」の設置等(「生活支援体制整備事業」)を通じて、市長村が中心となって、サービスが創出されるよう取組を積極的に進める。具体的には、コーディネーターと協議体が協力しながら、取組を総合的に推進していく。花見

注)【生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)】
地域で、生活支援・介護予防サービスの提供体制の構築に向けたコーディネート機能(主に資源開発やネットワーク構築の機能)を果たす者。

注)【協議体】
各地域におけるコーディネーターと生活支援・介護予防サービスの提供主体等が参画し、情報共有及び連携強化の場として、中核となるネットワーク。

※これらの事業は、2025年の地域包括ケアシステムの実現にむけた取組みです。