平成30年の10月に、熊野古道を歩きながら、世界遺産はどうやって、誰が決めるのかと素朴な疑問が生まれた。
また、日本にはどのぐらいあるのでしょうか。さっそく調べてみましょう。
ということで今回は、世界遺産って何?


● 世界遺産とは

 1972年のユネスコ総会で採択された「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」(世界遺産条約)に基づいて世界遺産リスト(世界遺産一覧表)に登録された、文化財、景観、自然など、人類が共有すべき「顕著な普遍的価値」を持つ物件のことで、移動が不可能な不動産が対象となっている。


● ユネスコとは

ユネスコ

(国際連合教育科学文化機関、United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization U.N.E.S.C.O.)は、諸国民の教育、科学、文化の協力と交流を通じて、国際平和と人類の福祉の促進を目的とした国際連合の専門機関。創設は昭和21年(1946年)11月4日 、日本は昭和26年(1951年)7月2日加盟。本部は、フランス共和国・パリ市。地域事務所は世界53か所【平成30年(2018年)2月現在】加盟国数は、195か国【平成30年(2018年)2月現在】


● 世界遺産の分類

・文化遺産
 顕著な普遍的価値を有する記念物、建造物群、遺跡、文化的
 景観など 例)インドのタージ・マハル(右の写真)、
       ドイツ連邦共和国のケルン大聖堂など

タージマハル

・自然遺産
 顕著な普遍的価値を有する地形や地質、生態系、絶滅のおそれの
 ある動植物の生息・生育地など
 例)タンザニア連合共和国のキリマンジャロ国立公園(右の写真)、
   アメリカ合衆国のイエローストーン国立公園など

キリマンジャロ国立公園

・複合遺産
 文化遺産と自然遺産の両方の価値を兼ね備えているもの
 例)ギリシア共和国のメテオラ(右の写真)、
   グアテマラ共和国のティカル国立公園など

ギリシャ共和国のメテオラ

● 世界遺産の登録基準 (※下記のいずれか1つ以上合致する必要がある)

 (ⅰ).人類の創造的資質を示す傑作。【人類の創造的才能】
 (ⅱ).建築や技術、記念碑、都市計画、景観設計の発展において、ある期間または世界の文化圏内
     での重要な価値観の交流を示すもの。【文化の交流】
 (ⅲ).現存する、あるいは消滅した文化的伝統または文明に関する独特な証拠を伝えるもの。
  【文化的伝統、文明の存在】
 (ⅳ).人類の歴史上において代表的な段階を示す、建築様式、建築技術または科学技術の総合体、
   もしくは景観の顕著な見本。【建築様式、建築技術、科学技術】
 (ⅴ).ある文化(または複数の文化)を代表する伝統的集落や土地・海上利用の顕著な見本。また
   は、取り返しのつかない変化の影響により危機にさらされている、人類と環境との交流を示
   す顕著な見本。【伝統的集落、人類と環境の交流】
 (ⅵ).顕著な普遍的価値を持つ出来事もしくは生きた伝統、または思想、信仰、芸術的・文学的所
   産と、直接または実質的関連のあるもの。(この基準は、他の基準とあわせて用いられること
   が望ましい。)【歴史上の出来事、伝統、宗教、芸術的作品との関連】
 (ⅶ).ひときわ優れた自然美や美的重要性をもつ、類まれな自然現象や地域。
   【自然現象、自然景観】
 (ⅷ).生命の進化の記録や地形形成における重要な地質学的過程、または地形学的・自然地理学的
   特長を含む、地球の歴史の主要段階を示す顕著な見本。【地球の歴史】
 (ⅸ).陸上や淡水域、沿岸、海洋の生態系、また動植物群集の進化、発展において重要な、現在進
   行中の生態学的・生物学的過程を代表する顕著な見本。
   【生態系や動植物群集の進化発展の過程】
 (X).絶滅の恐れのある、学術上・保全上顕著な普遍的価値を持つ野生種の生息域を含む、生物多
   様性の保全のために最も重要かつ代表的な自然生息域。【生物多様性保全にとって重要な地域】


● 世界遺産が登録されるまで

① 条約締結国の推薦 国内の世界遺産候補登録リスト(暫定リスト)の中から条件の整ったものを世界遺産委員会に推薦。
矢印
② 専門機関による調査

文化遺産は国際記念物遺跡会議(ICOMOS)、

自然遺産は国際自然保護連合(IUCN)が調査。
矢印

③ 世界遺産委員会

  (原則年1回)
専門機関からの報告書をもとに世界遺産リストに登録するかどうかを決定。

 


● 世界遺産委員会とは

 世界遺産委員会は、条約締約国21カ国の代表から構成され、新規に世界遺産に登録される物件や 拡大物件、「危機にさらされている世界遺産」(危機遺産)などの登録および削除、また、登録された遺産のモニタリングや技術支援、ワールド・ヘリテジ・ファンド(世界遺産基金)の用途などを審議、決定を行う。


● 世界遺産の総数

  平成30年7月現在で、1,092件(文化遺産845件、自然遺産209件、複合遺産38件)


● 日本の世界遺産  (文化遺産18件、自然遺産4件)

記載物件名

区分 登録年 所在地
1 法隆寺地域の仏教建造物 文化遺産 1993 奈良県
2 姫路城 文化遺産 1993 兵庫県
3 屋久島 自然遺産 1993 鹿児島県
4 白神山地 自然遺産 1993 青森県、秋田県

5 古都京都の文化財
  (京都市、宇治市、大津市)

文化遺産 1994 京都府、滋賀県
6 白川郷・五箇山の合掌造り集落 文化遺産 1995 岐阜県、富山県
7 原爆ドーム 文化遺産 1996 広島県
8 厳島神社 文化遺産 1996 広島県
9 古都奈良の文化財 文化遺産 1998 奈良県
10 日光の社寺 文化遺産 1999 栃木県
11 琉球王国のグスク及び関連遺産群 文化遺産 2000 沖縄県
12 紀伊山地の霊場と参詣道 文化遺産 2004 三重県、奈良県、和歌山県
13 知床 自然遺産 2005 北海道
14 石見銀山遺跡とその文化的景観 文化遺産 2007 島根県

15 平泉-仏国土(浄土)を表す建築・庭園
   及び考古学的遺跡群

文化遺産 2011 岩手県
16 小笠原諸島 自然遺産 2011 東京都
17 富士山-信仰の対象と芸術の源泉 文化遺産 2013 山梨県、静岡県
18 富岡製糸場と絹産業遺産群 文化遺産 2014 群馬県

19 明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、
   造船、石炭産業

文化遺産 2015 福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、
鹿児島県、山口県、岩手県、静岡県

20 ル・コルビュジエの建築作品
   ‐近代建築運動への顕著な貢献

文化遺産 2016 東京都(他フランス、ドイツ、スイス、
ベルギー、アルゼンチン、インド)
21 『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群 文化遺産 2017 福岡県

22 長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産

文化遺産 2018 長崎県、熊本県