平成29年度介護保険制度改正案(平成30年度介護報酬改定)が厚生労働省から出ている。介護保険制度は3年ごとに改正される。平成12年(2000年)4月から施行され、平成27年度から29年度までの現在が第6期、平成30年度から32年度の第7期を迎えようとしている。改正案の内容の中で、今まで耳にしたことがない「共生型サービス」と言うものが創設されるようである。

ということで今回は、共生型サービスって何?

● 介護保険制度改正の動向

 平成27年度の介護保険報酬改定において、中重度の要介護者や認知症高齢者になったとしても、「住み慣れた地域で自分らしい生活を続けられるようにする」という地域包括ケアシステムの構築 に向けた取組を進めるという方針を出している。
 
 平成29年度介護保険制度改正案(平成30年度介護報酬改定)では、地域包括ケアシステムの深化・推進として、地域共生社会の実現に向けた取組の推進等(社会福祉法、介護保険法、障害者総合支援法、児童福祉法:制度を超えた仕組みが必要となる

  • 市町村による地域住民と行政等との協働による包括的支援体制作り、福祉分野の共通事項を記載した地域福祉計画の策定の努力義務化
  • 高齢者と障害児者が同一事業所でサービスをうけやすくするため、介護保険と障害福祉制度に新たに共生型サービスを位置付ける。とされている。

 また、平成29年2月7日厚生労働省は「我が事・丸ごと」地域共生社会実現本部を設置し、
「地域共生社会」とは:制度・分野ごとの『縦割り』や「支え手」「受け手」という関係を超えて、地域住民や地域の多様な主体が『我が事』として参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えて『丸ごと』つながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創っていく社会として、地域共生社会実現の改革の背景や方向性、改革の骨格、実現に向けた工程が示されている。

 


● 介護保険と障害福祉制度の現状と現在までの経過

 介護保険は原則65歳以上(16の特定疾病に該当する方は40歳以上65歳未満でも介護認定を受けられる)の方が、介護申請を行い、要介護(要支援)の認定が下りた場合に介護サービスを利用できる。

 65未満の障害児者の方が障害福祉サービスを利用する場合は、障害者総合支援法のサービスを利用することになっている。障害者が65歳になって介護保険の被保険者となった際に、介護保険が優先されるため、使い慣れた障害福祉サービス事業所を利用できなくなるケースがあり、平成27年12月に社会保障審議会障害者部会から見直すべきとの意見が出されていた。

 障害福祉サ―ビスに相当するサービスが介護保険サービスにあれば、介護保険サービスの利用が優先される(介護保険優先原則)。

 65歳以上の高齢者については、原則として介護保険の被保険者となるが、障害者支援施設等(介護保険適用除外施設)に入所している者は介護保険の被保険者としないこととされている。

 介護保険と障害福祉のサービスについて見ると、各制度に固有のサービスもあるが、デイサービスなど相互に相当するサービスもあり、高齢者、障害児者などの多様な利用者に対して、同一 の事業所で一体的にサービスを提供する取組は、地域の実情に応じて、従来から進められている。

 このようなケースでは、障害福祉事業所としての指定を受けていない事業所のサービスであっても、介護保険事業所としての指定を受けていれば、市町村の判断により、障害福祉サービスとして 給付を行うことができる、障害福祉制度における「基準該当サービス」という仕組みを活用してサービス提供している。
 一方で、現行の介護保険制度上は、障害福祉サービス事業所としての指定を受けているというだけでは、介護保険サービスを提供できる仕組みとはなっていない。

 介護保険にも「基準該当サービス」はあるが、障害福祉事業所としての指定を受けているというだけでは介護保険の給付対象とすることができず、障害福祉の「基準該当サービス」とは異なる。

 両制度の「基準該当サービス」は、市町村の判断に委ねられているため、地域によってその取扱いに差があるとの指摘がある。


● 地域共生社会の実現に向けて  

「地域共生社会」の実現に向けて(当面の改革工程)(平成29年2月7日厚生労働省「我が事・丸ごと」地域共生社会実現本部決定)において、

  • 「人口減少など地域の実情に応じて、制度の『縦割り』を超えて柔軟に必要な支援を確保することが容易になるよう、事業・報酬の体系を見直す」
  • 「本年の介護保険制度の見直しにおいて、介護保険に「共生型サービス」を創設する。障害福祉制度の現行の基準該当の仕組みについても、報酬において障害支援区分を勘案していない等の課題に対応するため、障害福祉制度に「共生型サービス」を創設する。これにより、介護保険又は障害福祉のいずれかの指定を受けた事業所がもう一方の制度における指定を受けやすくする見直しを行う。
 また、平成30年の介護・障害報酬改定において、「共生型サービス」の創設に伴う基準・報酬についての必要な対応を行う」とされている。地域共生社会の実現に向けt当面の改革工程

● 共生型サービスの創設の趣旨等

「地域包括ケア強化法」では、
障害者が65歳以上になっても、使い慣れた事業所においてサービスを利用しやすくするという観点や、福祉に携わる人材に限りがある中で、地域の実情に合わせて、人材をうまく活用しながら適切にサービス提供を行うという観点から、社会保障審議会介護保険部会等において議論を行い、ホームヘルプサービス、デイサービス、ショートステイなどについて、高齢者や障害児者が共に利用できる「共生型サービス」を創設することを盛り込み、平成29年5月26日に成立したところである。

共生型サービス

 具体的には、介護保険又は障害福祉のいずれかの指定を受けている事業所が、もう一方の制度における指定も受けやすくなるようにするものであり、各事業所は、地域の高齢者や障害児者のニーズを踏まえて、指定を受けるかどうか判断することとなる。

 また、参議院厚生労働委員会における「地域包括ケア強化法案」に対する附帯決議において、「共生型サービスの実施に当たっては、従来、障害者が受けていたサービスの量・質の確保に留意し、当事者及び関係団体の意見を十分に踏まえ、その具体的水準を検討、決定すること。」 とされている。共生型サービスの対象となる、介護保険優先原則が適用される相互に相当するサービスについて、介護保険と障害福祉両方の制度を比較すると、人員配置、機能訓練室の面積、食堂についてなどで基準に違いがあり、調整等が必要である。

● 相談支援員とケアマネジャーの連携の推進  

「介護保険制度の見直しに関する意見」(平成28年12月9日 社会保障審議会介護保険部会)において、地域共生社会の実現に向けて、「相談支援専門員とケアマネジャーが、支援に必要な情報を共有できるよう両者の連携を進めていくことが適当であり、具体的な居宅介護支援事業所の運営基準の在り方については、平成30年度介護報酬改定にあわせて検討することとするのが適当である。」とされている。


● 相談支援専門員とは

 障害のある人が自立した日常生活や社会生活を送ることができるよう、全般的な相談支援を行う、障害福祉のケアマネジャーのような立場の人の事。
仕事の内容:障害のある人が自立した日常生活、社会生活を営むことができるよう、障害福祉サービスなどの利用計画の作成や地域生活への移行・定着に向けた支援、住宅入居等支援事業や成年後見制度利用支援事業に関する支援など、障害のある人の全般的な相談支援を行う。

東大和市では、平成29年7月1日現在、相談支援専門員が在籍する指定相談支援事業所は7事業所存在します。詳しくは東大和市役所障害福祉課でお聞きください。