お正月休みに読んだ本の中で、「キラーストレス」〜心と体をどう守るか〜という本がありました。昨年の6月に2度にわたりNHKスペシャルで放送された内容を書籍化したものです。
キラーストレス→Killer Stress→インターネットで翻訳すると「殺人者ストレス」となります。現代人はさまざまなストレスを抱えて日々生活しています。その中には死に至るような重大な事態に陥ることもあるようです。そうならないためにも、その対処法について、書籍を参考にしながら調べていきましょう。ということで今回は キラーストレスって何?


● まずは自分のストレスを知ろう
 まずは、自分がどれだけストレスを抱えているのか調べてみましょう。ライフイベントストレスチェックをやってみてください。評価の基準は、260点以上でストレスが多い要注意の状態300点以上で病気を引き起こす可能性がある段階です。私もやってみましたが、255点でした。自分が思ったよりも点数が高く、ストレスを抱えているのがわかりました。
では、ストレス反応のメカニズムについて調べていきましょう。


● ストレス反応のメカニズム
大脳辺縁系の構造 私たち人間が不安や恐怖を感じると、まず脳の中央下部の左右に位置する扁桃体が興奮を始める。扁桃体がストレス反応を引き起こす引き金になる。その扁桃体から「不安や恐怖に対処せよ」という指令が、脳の視床下部という部分に伝えられる。視床下部は大脳の奥深い場所にある間脳と呼ばれる部分にあって、自律神経やホルモンの分泌、情報伝達に関わっている。
ストレスホルモン 指令は次に副腎に届く。すると副腎はストレスホルモンと呼ばれる物質を分泌し始める。コルチゾール、アドレナリン、ノルアドレナリンといったホルモン群である。副腎から分泌されたこれらのストレスホルモンは、血流にのって全身をかけ巡る。そうして、体内のさまざまな臓器に指令を伝える。指令は心臓にも伝わる。指令を受けた心臓は、心拍数が増えて、血圧が上昇する。その結果、「心臓がドキドキする」状態になる。

 さらに、指令は自律神経にも伝えられる。自律神経とは、交感神経と副交感神経を合わせた神経系の総称である。自律神経は体の隅々まで張り巡らされていて、臓器だけでなく、末端の血管まで絡みつくようにして存在している。扁桃体からの指令を受けた自律神経は、全身の血管をぎゅっと締め上げる。その結果血管が細くなり、血圧が急激に上昇する。血中にストレスホルモンが増えると、血小板同士が結合し、血液が固まりやすくなる。これに加えて、肝臓にため込まれている糖分が、血液中に放出されるといった反応も起こる。

 このように、ストレス反応は、多くの臓器や組織が関係する複雑な反応であり、私たちの体の中では、知らず知らずのうちに、さまざまなストレス反応が起きている。

● ストレスの種類
 ストレスは大きく2種類に分けられる。
「頑張るストレス」:主に「体」のストレス反応が強くなる。例えば、仕事でノルマに追われているようなときに生じるストレスである。売り上げ目標を達成しなければいけない営業マンや、厳しい納入スケジュールを守らなければいけない工員、1日のうちに掃除や洗濯、食事の準備など複数の家事をこなさなければならない主婦には、この種類のストレスがかかっていることが多い。
こうした状況にさらされると、複数あるストレスホルモンの中で、アドレナリンなどが過剰分泌される。そのアドレナリンが絶え間なく大量に分泌されると、血圧の上昇などさまざまな身体的反応につながる。
「我慢するストレス」:主に「心」のストレス反応が強くなる。例えば、満員電車に長時間乗る。嫌な上司と毎日顔を合わせるといった、何かを耐え忍ぶ状態を継続しなければならない状況のストレスのことを指す。現代社会には、人混みや騒音、複雑な人間関係、インターネットや携帯電話による心理的拘束など、いくつもの「我慢するストレス」の要因が存在する。  この種のストレスが原因になって、心の病につながる、慢性的に継続するストレス反応は、本来ならばわれわれを守るための重要な仕組みを暴走させてしまう。それを毒性ストレスという。そしてこの「毒性ストレス」が、ある日突然豹変し、殺人的な破壊力を持ち始めることがある。これこそが、キラーストレスとなる。

● ストレスを悪化させるマインド・ワンダリング
 慢性的にストレス反応が起きているこうした状況を、さらに悪化させる仕組みがある。その原因となるのが、私たち人類に備わっている「記憶力」や「想像力」である。
 例えば、職場で上司に厳しく叱責されるといった、大きなストレスにさらされた場合、家に帰って上司が目の前からいなくなっても、その場面を思い出したりする、そして、また明日も同じようなことが起こるかもしれないと想像する。

 このように、目の前の現実についてではなく、過去や未来についてあれこれ考えを巡らせてしまう状態を「マインド・ワンダリング(心の迷走)」と呼ぶ。

● キラーストレスで死なないための対処法
 ▶︎ コーピング 
 ストレスに立ち向かうためにはまず、自分がどのようなストレス状況にあるのか、そしてその影響がどれくらい自分に及んでいるのか、できるだけ客観的に把握することが大切となる。
 その方法として、コーピングという手法がある。英語のcope(=対処する)に由来する。数多くの研究で実績が証明されているストレス対処法である。

 まず、ストレスがかかったときにどんな気晴らしをすれば気分がよくなるのか、あらかじめリストアップしておく。例えば「音楽を聴く」「本を読む」「買い物をする」といった簡単な内容である。リストが出来上がったら、実際の生活の中でいろいろなストレスがかかる度にそのストレスに見合った気晴らしをリストからピックアップして実行する。その結果、実際にストレスが減ったかどうかを自分で判断する。まだストレスを感じていたら、さらに同じ気晴らしを続けたり、別の気晴らしに切り替えたりしてみる。
 要するに、気分と行動の関係に気づく。その行動がもし良かったら、それを繰り返して、習慣化していくことが重要になる。コーピングを行う際の基本姿勢として常に大切にすべきなのは、自分にいまどのようなストレスがかかっているのか、「ストレスのモニター」を忘れないことである。そのためには、自分が置かれた状況を客観的に観察し、どのようなストレス反応が現れているかを確認することが大切となる。

大脳辺縁系の構造2 コーピングにより、前頭葉が活発に働くようになる効果が期待できる。前頭葉は脳の中で、認知を司り、思考や行動の決定に極めて重要な役割を果たす部分である。前頭葉の活動によって、扁桃体の働きが抑制される。ストレスについて客観的に認知できるようになった人は、この扁桃体の活動を抑えることができる、つまり、ストレス反応をスタート地点で抑制することができる。そして、重要な役割を果たしているのが前頭葉だということも分かってきた。認知や理性を司る前頭葉が活発に働くことによって、恐怖や不安に反応する扁桃体の働きを抑えることができる
 扁桃体と前頭葉は、いわば車のアクセルとブレーキみたいなもので、扁桃体はアクセル。アクセルを踏み過ぎてストレス反応が暴走を始めると、「そんなに大きく反応しなくてもいいよ」と前頭葉がブレーキをかける。


 ▶︎ マインドフルネス
 最近、あちこちで、マインドフルネスという言葉を見聞きする方も多いと思う。
瞑想の現代版である。日本語に訳すと気づきという意味になる。もう少し具体的には今の瞬間の現実に気づくことである。
 先ず始めに体の力を抜き、背筋を伸ばして座る。そして、体と呼吸に意識を向け、その様子を感じるようにする。呼吸をただ感じる。おなかが膨らんで、平になって、胸がゆっくり上がったり、下がったり、鼻を通る空気の冷たさや温かさを感じる。今の瞬間の自分に起きている現実を意識する。どうしても雑念が湧いてくるので、その時は感情が動き始めていることに気づき、「戻ります」などと心の中で唱えながら、呼吸に注意を戻す。
 今に注意が向かうことで、過去の出来事にとらわれたり、ありもしない未来の不安にさいなまれたりする「マインド・ワンダリング(心の迷走)」によって、ストレスが増幅されることがなくなり、ストレスホルモンの分泌が抑えられる可能性が指摘されている。


イーライフでもストレス対策として、日常的にこれらの手法を導入していこうと考えています。
詳しくはキラーストレス心と体をどう守るNHKスペシャル取材班NHK出版新書780円をご参考下さい。