2016年6月2日、「ニッポン一億総活躍プラン」というものが閣議決定されました。「一億総活躍社会」と言う言葉を聞いた事がありますが、いったいどんな社会でどんなプランなのでしょうか?
という事で今回は、一億総活躍社会って何?


●「一億総活躍社会」発足の経緯

 2015年10月に発足した第3次安倍晋三改造内閣の目玉プラン。安部首相自身が次の3年間を「アベノミクスの第2ステージ」と位置付け、「一億総活躍社会」を目指すと宣言した。少子高齢化に歯止めをかけ、50年後も人口1億人を維持し、家庭・職場・地域で誰もが活躍できる社会を目指すという。具体的には、同時に発表したアベノミクスの新しい「3本の矢」を軸に、経済成長、子育て支援、安定した社会保障の実現を目指している。
経済面は、「希望を生み出す強い経済」により、東京五輪が開催される20年頃にGDP600兆円を達成。
子育ては、「夢をつむぐ子育て支援」により、希望出生率を1.8(現在は1.4前後)まで回復。
社会保障は、「安心につながる社会保障」により、団塊世代が70歳を超える20年代に介護離職ゼロを実現。

以上の目標に向け、新たに「一億総活躍担当大臣」が設置された。初代大臣には、自民党の加藤勝信(女性活躍担当大臣、拉致問題担当大臣他と兼任)が任命され、内閣官房に「一億総活躍推進室」が設置された。具体策は、「一億総活躍国民会議」で話し合われる。

 


●「一億総活躍社会」とは?
  • 若者も高齢者も、女性も男性も、障害や難病のある方々も、一度失敗を経験した人も、みんなが包摂され活躍できる社会

  ※社会的包摂(しゃかいてきほうせつ)(ソーシャルインクルージョン)
   社会の中から排除する者をつくらない、全ての人々に活躍の機会があること

  • 一人ひとりが、個性と多様性を尊重され、家庭で、地域で、職場で、それぞれの希望がかない、それぞれの能力を発揮でき、それぞれが生きがいを感じることができる社会
  • 強い経済の実現に向けた取組を通じて得られる成長の果実によって、子育て支援や社会保障の基盤を強化し、それが更に経済を強くするという『成長と分配の好循環』を生み出していく新たな経済社会システム

 


● 「一億総活躍国民会議」の開催状況

 構成:担当大臣・首相を含む閣僚13人と有識者15人から成る。
 2015年10月29日に第一回が開催され、平成28年5月18日まで第8回開催され、「ニッポン一億総活躍
 プラン」の審議がされ、平成28年6月2日の第9回で閣議決定されている。


  1. 成長と分配の好循環メカニズムの提示
  2. 成長と分配の好循環

2.働き方改革
同一労働同一賃金の実現:非正規雇用の待遇改善を図るため、ガイドラインの策定等を通じ、不合理な待遇差として是正すべきものを明示。また、その是正が円滑に行われるよう、労働関連法の一括改正。
長時間労働の是正:仕事と子育ての両立、女性のキャリア形成を阻む原因。法規制の執行を強化するとともに、労働基準法については、36(サブロク)協定の在り方について再検討を開始。
    高齢者の就労促進:65歳以降の継続雇用延長や65歳までの定年延長を行う企業等に対する支援等の実施。


3. 子育ての環境整備
保育の受け皿整備:待機児童の解消を目指し、平成29年度末までの整備量を40万人分から50万人分に上積み。企業主導型保育の推進。
保育士の処遇改善:新たに2%相当(月額6,000円程度)の改善を行うとともに、予算措置が執行面で適切に賃金に反映されるようにしつつ、保育士としての技能・経験を積んだ職員について、現在月額4万円ある全産業の女性労働者との賃金差がなくなるよう、追加的な処遇改善。
多様な保育士の確保・育成:返済免除型の貸付制度の拡充、ICT等を活用した生産性向上等の総合的取組。
放課後児童クラブの整備:平成31年度末までに30万人分の追加的な受け皿整備。職員の処遇改善や業務負担軽減対策を進めるとともに、追加的な受け皿整備を平成30年度末に前倒して実現するための方策を検討。


4.介護の環境整備
介護の受け皿整備:介護離職ゼロを目指し、現行計画等における約38万人分以上(2015年度から2020年度までの増加分)の整備加速化に加え、2020年代初頭までに約50万人分を整備
介護人材の処遇改善:競合他産業との賃金差がなくなるよう、平成29年度からキャリアアップの仕組みを構築し、月額平均1万円相当を改善
多様な介護人材の確保・育成:返済免除型の貸付制度の拡充、高齢人材の活用、介護ロボットやICT等を活用した生産向上等の総合的取組。


5.すべての子どもが希望する教育が受けられる環境の整備 
学びの機会の提供:スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーの配置など教育相談機能を強化。フリースクール等の学校外で学ぶ子どもを支援。地域住民の協力及びICTの活用等による原則無料の学習支援を行う地域未来塾を平成31年度までに5000か所に拡充
奨学金制度の拡充
無利子:残存適格者の解消と、低所得世帯の子供に係る成績基準の大幅緩和により、必要とするすべての子供たちが受給できるようにする。
有利子:固定金利方式・金利見直し方式ともに現在の低金利の恩恵がしっかり行き渡るようにする。特に、金利見直し方式では、ほぼ無利子になるような仕組みを検討。
給付型:世代内の公平性や財源などの課題を踏まえ創設に向けて検討を進め、本当に厳しい状況にある子供たちへの給付型支援の拡充を図る。
返還:所得に応じて返還額を変化させる新たな制度を平成29年度の進学者から導入。


6.「希望出生率1.8」に向けたその他の取組 
女性活躍:子育て等で一度退職した正社員の復職が復職する道が一層開かれるよう、企業へ働きかけ。マザーズハローワークの拡充。ひとり親の資格取得を支援。役員候補段階の女性を対象としたリーダー育成研修等の先進的な取組を推進。
若者・子育て世帯への支援:子育て世代包括支援センターの平成32年度末までの全国展開。不妊専門相談センターを平成31年度までに全都道府県・指定都市・中核市に配置して相談機能強化。
子供の医療制度の在り方等に関する検討会での取りまとめを踏まえ、国民健康保険の減額調整措置について見直しを含め検討し、年末までに結論を得る。
三世代同居・近居:大家族で、世代間で支え合うライフスタイルを選択肢として広げるための環境づくりを推進。
子供・若者等の活躍支援:困難を有する子供・若者等に対して、地域若者サポートステーション等の関係機関が連携して伴走型の支援を実施。


7.「介護離職ゼロ」に向けたその他の取組
健康寿命の延伸:老後になってからの予防・健康増進の取組だけでなく、現役時代からの取組も推進。
障害者、難病患者、がん患者等の活躍支援:障害者、難病患者、がん患者等が、希望や能力、障害や疾病の特性等に応じて最大限活躍できる環境を整備するため、就職支援及び職場定着支援、治療と職業生活の両立支援等を推進。障害者のスポーツ、文化芸術活動の振興を図る。障害のある子供も、障害のない子供と可能な限り共に学べる環境を整備。
地域共生社会の実現:子供・高齢者・障害者など全ての人々が地域、暮らし、生きがいを共に創り、高め合うことができる「地域共生社会」を実現。このため、地域のあらゆる住民が役割を持ち、支え合いながら、自分らしく活躍できる地域コミュニティーの育成等を推進。


8.「戦後最大の名目GDP600兆円」に向けた取組
(1)第4次産業革命 (2)世界最先端の健康立国へ (3)環境・エネルギー制約の克服と投資拡大 (4)スポーツの成長産業化 (5)2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた見える化プロジェクト (6)既存住宅流通・リフォーム市場の活性化 (7)サービス産業の生産性向上 (8)中堅・中小企業・小規模事業者の革新 (9)攻めの農林水産業の展開と輸出力の強化 (10)観光先進国の実現 (11)地方創生 (12)国土強靭化、ストック効果の高い社会資本整備 (13)低金利を活かした投資等の消費・投資喚起策 (14)生産性革命を実現する規制・制度改革 (15)イノベーション創出・チャレンジ精神に溢れる人材の創出 (16)海外の成長市場の取り込み

首相官邸ホームページ/総理大臣/主な本部・会議体/一億総活躍国民会議参照風鈴
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ichiokusoukatsuyaku/index.html

※ 2016年6月1日、安部首相は、消費税の税率10%の引き上げを2019年10月まで2年半先延ばしする方針を正式表明している。「ニッポン一億総活躍プラン」の財源の確保は厳しい状況に直面している。