昨年の11月からトイレの友として読み始めた「司馬遼太郎が考えたこと」というエッセイ集(全15巻)の第二巻までを年末に読み終えた。この本はトイレの友としてはもってこいの本である。なぜなら、一話が2ページから4ページ程度のものが多く、朝の忙しい時間でもストレスなく楽しめる。私にとってなんとも魅力的なアイテムである。

 新年を迎え、続きが無性に読みたくなった。しかし、文庫本でありながら、近くの本屋にはあまり売っていない。しょうがないので、立川まで買いに出掛けた。モノレールを降りると、そそくさと本屋に向かった。本屋の中は、NHKドラマの「坂の上の雲」や「龍馬伝」の影響で司馬遼太郎コーナーが設けられていた。しかし、その一角に目的の本はなく、いつもの新潮文庫の棚に陳列されていた。三巻と四巻を左手に持ち、ほかにもなにか面白い本がないかなぁと店内をめぐっていると、谷川俊太郎のコーナーに出くわした。

 谷川俊太郎、言わずと知れた、有名な詩人である。名前は知っているが、詩を読んだことはない(♪空をこえてラララ 星のかなた〜♪の鉄腕アトムの作詞をしている人)。そもそも詩集というものを今までほとんど読んだ事がない。貧乏性のせいか、ケチなせいか、詩の書いてあるページの余白が勿体無いと思っていたのかもしれない。

 しかし、その時は躊躇なく手が伸びた。何気に手に取り「生きる・わたしたちの思い 谷川俊太郎 with friends」という右の写真の本をめくってみた。

 この本は谷川氏のファンが谷川俊太郎コミュニティーというインターネット上のコミュニティーサイトを開設し、その中の参加者の一人が谷川俊太郎氏の傑作 生きているということ いま生きているということ という一文から始まる『生きる』という詩に心を奪われ、自分が思う『生きる』を表現したいと思い、そして他の人が考える『生きる』とは何なのかを知りたくて『生きる』をつなげて一つの詩みたいなものを作りませんか?と呼びかけた。それに反応した参加者が次々と増え、投稿した詩が書籍になったものである。NHKテレビでも取り上げられたそうである。

 詩を読んでみると、いろいろな人の『生きる』に触れることが出来て、心が揺らいだ。幾つか気に入ったものを紹介させてもらう。『好きな人の名前を日向ぼっこしてるのらねこにそっとうちあけること』『くれよんの先が丸くなること』『あなたの笑顔にこころ透きとおること』『泣きながらでも歩いていくこと』『目覚めて「ああ夢だった」と思うこと』・・・

 行間や余白が味わい深い事に気付き、読み終えた余韻でいろいろ考えさせられる。その時の思いや心情が『生きる』として素直に伝えられており、共感できる詩に沢山出会えた。

 年の初めに、ほっこりとした気持ちになり、自分の『生きる』も表現したくなった。

『毎朝トイレに座り、わくわくしながらページをめくれるということ』