司馬三昧

 大河ドラマ「西郷どん」は、江戸無血開城を終え、佳境に入っている。しかし、この時代の複雑性を理解するのはなかなかむずかしい。今年は、明治維新から150年を迎える。これを機会に、好きな司馬遼太郎の書籍を読みながら、この激動と変動の時代を、楽しみながら理解したいと思った。

 年の初め、まずは「竜馬がゆく」を読み始めた。司馬遼太郎の文庫は沢山出ている。新潮文庫はほとんど読んでいるが、文春文庫はまだ読んでいない。8巻あるので、かなりの日時を要したが楽しい時間であった。竜馬が暗殺された後は、とても寂しい気持ちになり、疾風が駆け抜けた読後感がしばらく続いた。

 土佐藩は上司と郷士(下司)の身分の差が他に比べて厳しい状況にあった。そのあたりをもう少し詳しく知りたいと思い、長曾我部元親の事を書いた「夏草の賦」を読んだ。四国統一を目論み、志半ばで秀吉に阻まれ、京から離れた辺境の地でもがきながら衰退していく生涯に悲哀を感じた。上司と郷士の関係については、長曾我部元親の四男、盛親の事を書いた「戦雲の夢」、関ヶ原後に土佐の領主となった山内一豊の事を書いた大河ドラマにもなっている「功名が辻」に委ねようと思う。関連して、山内容堂の事を書いた「酔って候」は、今は亡き、柳ジョージ&レイニーウッドの歌のモデルとなっている。歌詞は♪土佐の鯨は大虎で 腕と度胸の男伊達 いつでも 酔って候〜♪とても口ずさみやすく、司馬遼太郎に対する敬意が感じられる。

 また、長州藩の事が知りたくなり、吉田松蔭、高杉晋作の事を書いた「世に棲む日日」を今読んでいる。「武士の家計簿」で有名な「西郷どん」の時代考証のメンバーである、歴史学者の磯田道史さんは、「司馬遼太郎で学ぶ日本史」の中で、「私は、司馬遼太郎全作品の中でこの作品こそが最高傑作である」として「花神」をあげている。

 「花神」:主人公の大村益次郎は、長州藩の村医者の子として生まれながら蘭学・洋学・兵学などを学び、やがて新政府軍を率いて戊辰戦争を勝利に導いた人物です。維新後は軍制改革に携わり、事実上、明治国家の陸軍の基礎を作り上げました。しかし、国民皆兵を目指す大村の急進的な改革に不満を持つ元長州藩士らのテロによって命を落としてしまいます。司馬さんは「花神」の中で、この大村の視点を通して、江戸時代を明治にしたものは何かについて探求しました。※「司馬遼太郎で学ぶ日本史」より抜粋。

 こちらも大河ドラマになっている。大分前に読んでいるが、印象としてそれほどでもなかった。靖国神社で見た大村益次郎像はとても大きく存在感があった。この時期に、改めて読み直してみたら、違う印象を持つかもしれない。

多摩湖 敗者の側で気になるのが、「最後の将軍 徳川慶喜」。長岡藩の家老河井継之助の事を書いた「峠」。これは、好きな本の一つである。あと、小学生の時、会津の鶴ヶ城で知った白虎隊の悲劇は、今でも心の中に残っている。松平容保の事を書いた「王城の護衛者」、「街道をゆく 白河・会津のみち」など会津に関連した書籍を読みたいと思っている。

 そして、最後に西郷隆盛と大久保利通の事を書いた「翔ぶが如く」を読む。司馬遼太郎の書籍を中心に歴史を関連付けていく作業はとても面白い。

今年の秋の夜は、あっという間に過ぎ去りそうである・・・