奈良

 先月、念願であった奈良のお寺巡りに出かけた。連休を利用して、9月15日から19日までの4泊5日の一人旅であった。この仕事を始めて今年の6月で15年を過ぎたが、初めての長期休暇であった。台風18号の影響で天候を心配していたが、奈良県北部の天気は概ね良好であった。今回の目的は、田舎道を歩きながら、お寺を巡り、なるべく多くの仏像に出会うこと。とにかく歩いたな〜という印象と、沢山の寺院、仏像に触れて、心が浄化された良い旅であった。

海龍王寺十一面観音 どんな所を巡ったのか振り返ってみましょう。15日は午後2時頃、近鉄奈良駅の隣の新大宮駅の宿に到着。天気は曇り。早速、秋の虫の音を聞きながらのんびりした雰囲気で散策。まずは、 法華寺(ほっけじ)へ向かい、その後、海龍王寺(かいりゅうおうじ)へ行き、美しい十一面観音を参拝。その後平城宮跡へ向かい、日没となる。


法輪寺 16日は、朝6時半前に宿を出て少し歩くと雨が降り出す。平城宮跡を通り、西大寺、菅原天満宮、善光寺、垂仁天皇陵(すいにんてんのうりょう)をめぐる。川沿いを歩いて行くと、目的の唐招提寺(とうしょうだいじ)へ到着。金堂の千手観音に圧倒されながら、境内を巡る。苔のむしかたに佇まいがあり、雨がよく似合う。御影堂の障壁画、東山魁夷の【山雲】は、生まれ育った奥多摩の景色と重なり心がとても癒される。行基菩薩坐像今回は修復中であり、残念ながら見る事は叶わなかった。
新宝蔵に展示されている行基菩薩坐像(ぎょうきぼさつざぞう)が今にも喋り出しそうであり、説法を受けている気分になった。その後薬師寺へ向かい、西ノ京駅から近鉄奈良駅へ行き、ナラマチを散策。携帯の万歩計をみたら、二万四千歩を超えてい た。歩きすぎて疲れたので、宿に戻り、温泉に入ってゆっくり過ごす。


金銅釈迦三尊像 17日も6時半前に宿を出発し、JR奈良駅から今回一番楽しみにしている 斑鳩(いかるが)の里へ向かった。法隆寺に到着すると、8時の開門と共に鐘の音が響き渡った。まさしく「鐘が鳴るなり法隆寺」であった。金堂の金銅釈迦三尊像(こんどうしゃかさんぞんぞう)は威厳を漂わせており、自然と厳粛な気持ちになる。本尊菩薩半跏像その後、隣接している中宮寺へ行き、 本尊菩薩半跏像(ほんぞんぼさつはんかぞう)如意輪観世音菩薩(にょいりんかんぜおんぼさつ))を参拝。左足を垂れ、右足の左膝の上に置き、右の足首の上に左手を置き、右手は曲げて、その指先をほのかに頬に触れる、うつむき気味に目を閉じ、なにやら思考している表情がとても穏やかで気品がある。いつまでもじっと見ていたい気持ちになる。その後、法起寺、法輪寺を巡り、ひなびた感じの雰囲気の食堂へ入り、昼食。店主は私の母親と同年輩の女性、今日は台風だからと外出しないようにテレビで放送していたから、こんなに良い天気なのにお客さんが来ないよと嘆いていた。私が最初の客で、作りすぎたと酢の物をサービスしてくれた。その後、斑鳩の里を後にして、一度宿に戻る。夕方近鉄奈良駅から市街地を散策し春日大社へ行く。台風の影響で風が強くなってきたので、引き上げる。万歩計は3万歩を超えていた。明日に備えて、入念に足のマッサージをして床に着く。


因達羅大将 18日、台風一過で晴天。JR奈良駅から7時過ぎのバスに40分程乗車し、円成寺へ向かう。国宝の大日如来を楽しみにしていたが、9月26日から上野で開催される運慶展のため、出張中で不在。気を取り直して、柳生街道を歩く。台風一過のため、山道はところどころに倒木がある。地獄谷石窟仏(じごくだにせっくつぶつ) は辺りから怖い雰囲気を醸し出しており、気がつくと早足になっている。その後、これまた怖い名称の首切り地蔵を経て、3時間程で、新薬師寺へ到着。
薬師如来と十二神将を参拝。沙羯羅立像十二神将はそれぞれが干支の守護神になっており、巳年の守護神 因達羅(インダラ)大将にロウソクを灯し合掌。奈良公園の食堂で昼食をとり、東大寺へ向かう、大仏殿のスケールの大きさに圧倒されながら、興福寺へ向かう。
阿修羅 −天平乾漆群像展(てんぴょうかんしつぐんぞうてん) が開催されており、阿修羅像を中心に八部衆はとても秀逸であり、時間をかけて参拝。心地よい疲れを感じながら宿にもどる。


九体阿弥陀如来 最終日19日、晴天。昨日まではかなり歩いたので、最終日はゆっくり過ごすことにする。8時過ぎにチェックアウトし、近鉄奈良駅のロッカーに荷物を預ける。広目天バスで京都と奈良の府県境に位置する 浄瑠璃寺(じょうるりじ) へ向かう。本堂には九体の阿弥陀如来が安置されており壮観。おもわず「お〜っ」と声がでた。山寺の空気感と相まって、癒される。バス停に猫が寄ってきたので、あやしながらバスを待つ。
その後、奈良市街へもどる。そういえば、昨日東大寺へ行ったが、四天王を参拝していない事に気がつく。
戒壇堂(かいだんどう) へ向かい、四天王を参拝。いずれも凛々しい佇まいであり、秀逸。身が引き締まる。広目天が右手に持つ筆先がリアルに黒いのが印象的。
電車の時間まで少し余裕があったので、最後にもう一度興福寺へ向かい、八部衆を参拝。近鉄奈良駅から京都を経て帰京。午後8時に自宅へ到着。

 

蓮の花 玄関の扉を開けようとしたら、お香のかおりがふわっと立ち込める、不思議な事があるものだなと思いながら、旅の終わりの洒落た演出に、感謝を込めて合掌。