熊野の旅

 昨年の10月、遅い夏休みを利用して、4泊5日で熊野に出かけた。熊野古道を歩き、山越えをした後に、那智の滝、青岸渡寺の如意輪観音を参拝したいと思ったからである。一昨年は9月に奈良に出かけたが、今回は紀伊半島なので、台風の影響を考慮して10月の予定とした。5月に予約した一泊目の宿は、8月の台風20号の影響で被害に会い、急遽変更している。

大斎原1日目、晴れ、新幹線で名古屋まで行き、紀伊本線に乗り換え、特急南紀3号で3時間半掛けて和歌山県の新宮駅に到着。車窓からの田舎の景色を楽しむ。新宮から熊野本宮大社まではバスで移動。熊野川を右手に眺めながら1時間で到着。八咫烏(やたがらす)に迎えられ、参拝。徒歩数分の場所にある旧社地の大斎原(おおゆのはら)(明治22年の大洪水で流されるまで、この地に本宮大社があった)は入口に高さ約34メートルの大鳥居があり壮観。その先に神聖な森が広がっている。ふと空を見上げると、とんびが森をまもるがごとく旋回しているのが印象的であった。その後、本日の宿湯の峯荘へ向かう。足慣らしと思い、大日越えコースを歩く。急坂が続き、大汗をかきながら1時間で湯の峯温泉街へ到着。宿の人に車で迎えに来てもらう。露天風呂は、湯の花が舞い、身も心も癒される。お勧めの温泉である。

百間ぐら2日目、晴れ、小雲取(こぐもとり)越えコースを歩く。湯の峯温泉からバスに乗り、請川バス亭で下車。近くのコンビニで昼食のおにぎりを買い、さあ出発。コースの中間付近にある「百間(ひゃっけん)ぐら」からの景色は絶景であった。緑が陽に映えて、気持ちの良い自然を満喫する。古道で出会う人は、ほとんどが外国人、しかも欧米人であることを不思議に思いながら、本日の宿、小口自然の家に到着。宿の人に、「本日の宿泊客で、日本人は船橋さん一人です」と宣告される。耳を疑っていると、「だいたいそうなんですよ、9割が外国人です」との事。夕食時食堂へ行くと、20人ほどの欧米人に圧倒される。会話は「コンニチワ」で通す。宿の人に「変な雰囲気ですいませんね」と慰められる。その晩は、異国に来ているのかと錯覚に陥りながら、明日に備えて早めに床に就く。

那智の滝3日目、晴れ、今回の旅のメインイベントである大雲取(おおぐもとり)越えコースを歩く。29番標識のある大雲取登り口から1番標識のある那智大社まで気合いを入れて歩く。胴切坂という石畳みの急な登り坂を辛抱強く越えると、頂上の越前峠に到着しほっと一息。その後は比較的なだらかな道が続く。台風の影響で倒木や迂回路もあったが、全体的に整備が行き届いている。ほぼ5時間半で那智大社へ到着。那智の滝の景観にしばし目を奪われる。その後、青岸渡寺の如意輪観音を参拝。優しい表情に癒される。バスで勝浦まで行き、本日の宿、ホテル浦島へフェリーで渡る。

お地蔵さん 4日目、晴れ、改めて那智大社に向かう。勝浦からバスで大門坂まで行き、パンフレットでよく見かける石畳の階段を那智大社まで歩く。ゆっくり参拝し、その後、補陀洛山寺(ふだらくさんじ)まで歩く。勝浦で昼食を済ませ、早めにホテル浦島へ戻る。館内はとても広く、大きな露天風呂が2つある。いきなり海に面しており、海風をうけながら洞窟感を満喫できる。大洞窟風呂忘帰洞(ぼうきどう)からは、波しぶきを眺めながら、北斗七星を見ることができた。

ゴトビキ岩5日目、雨のち晴れ、最終日、新宮城跡を経て、熊野速玉大社へ向かう。ゆっくり参拝した後、15分ほど歩いて神倉神社へ向かう。山頂へは、538段の急な石段が続く。最後にいちばんキツイ石段が来たなと思いながら、雨なので慎重に歩を進める。登りきると、社殿の上に、巨大なゴトビキ岩(熊野地方で「ひきがえる」の意味)が山肌からせりだしており、圧倒される。熊野三山の神々が最初にここに降り立ったと伝わる。その後、新宮駅から帰路に着く。

 とても充実した5日間であった。熊野のやおよろずの神にいただいた元気と共に、新年を迎えている。

        平成最後の年が良い年となりますように。