「おおっ!」と思わず声を出してしまったのは、9月30日の朝、寝ぼけ眼で朝刊をめくっていた時、突然、力みなぎる2体の木彫りの仁王像の広告写真が目に入ったからである。

 広告を読むと、金剛力士像阿吽2体1組【 なんと、高さ59cmの大迫力!《切金》の技法も華麗な《仁王様》 】と書かれていた。衝動的に欲しくなったが、値段を見てすぐにあきらめた。

 仁王像といえば、小学生の時、夏休みの宿題で作った記憶がある。コーラのビンと針金そして紙粘土を用いて作った事を思い出す。仁王像は口を開けた阿形像(あぎょうぞう)と口を結んだ吽形像(うんぎょうぞう)があるが、あの時は木べらで口を開けた記憶があるので、阿形像を作ったようである。百科事典の法隆寺の仁王像の写真を参考にした。下から見上げるおおきな像なので、実物は極端に短足になっているようであるが、作ったのは40cm程度の大きさなので、足の長さを決めるのに苦労した。作っていると横から父親がいちいち口と手を出してきた。肌の色の濃淡と腹筋の隆起の仕方で言い争いになった記憶がある。なんだかんだでできあがったが、最終的には誰が作ったのかわからなくなってしまった。
今となっては父親とのいい思い出である。

 前回、司馬遼太郎の小説の事を書いたが、歴史小説を読んでいると、その場所に行きたくなるようである。また、今回仁王像の広告写真を見たことにより、実際の仁王像を観たくなった。そして、もう一度作りたくなった。小学生の時に作ったのは、阿形像一体であり、やはり、仁王像は阿吽2体一組である。(阿吽とは宇宙の始まりと終わりを表すそうである。)

 一度思い立つと居ても立ってもいられなくなるたちである。毎年、紅葉シーズンになるとJRのCMで「そうだ!京都に行こう」と盛んに宣伝しているが、私の場合は「今すぐ奈良に行きたい」という心境である。

 頭の中で計画は出来上がっている。まず、法隆寺に行き仁王像を目に焼き付け、ついでに唐招提寺(とうしょうだいじ)、薬師寺を見学し、時間があったら東大寺をまわり、帰りの電車で仁王像をどうやって作るかあれこれ部品を考えながら帰ってくる。ある程度イメージができたら東急ハンズに買物に行き、部品をそろえて作り始める。

そして、完成した阿吽とともに新年を迎える。
計画までは完璧である・・・