ケアマネジャーという仕事


個別化の原則 ※対象者をクライエント、援助者をワーカーと記載しています。

要約


クライエントの抱える困難な問題は、どれだけ似たようなものがあっても、人それぞれの問題であり、「同じ問題は存在しない」とする考え方。
この原則において、クライエントのラベリング(人格や環境の決めつけ)やカテゴライズ(同様の問題をまとめて分類してしまい、同様の解決手法を執ろうとする事)は厳禁となる。


基本的なニーズ


クライエントは、ケースとしてあるいは典型例として、さらにある範疇に属する者として対応されることを望まない。彼らは、一人の個人として迎えられ、対応してほしいと望んでいる。
(ケースワークの原則 20Pより抜粋)

主な内容


クライエントを個人として捉えることは、一人ひとりのクライエントがそれぞれに異なる独特な性質をもっていると認め、それを理解することである。また、クライエント一人ひとりがより良く適応できるよう援助する際には、それぞれのクライエントに合った援助の原則と方法を適切に使いわけることである。これは、人は一人の個人として認められるべきであり、単に 「一人の人間」としてだけでなく、独自性をもつ「特定の一人の人間」としても対応されるべきであるという人間の権利にもとづいた援助原則である。
(ケースワークの原則 36Pより抜粋)

クライエントは大変傷つきやすく、敏感な状態で社会福祉機関を訪れる。そして、クライエントは「自分にとってもっとも関心のある話題、すなわち自分の情況や要求について話し合う時に、ワーカーが細心の注意をはらい、秘密を保持し、そして援助するよう」求めている。したがって、「クライエントがワーカーに励まされて、自分の身の上を語ったり説明したり、あるいは自分の情況に対して自分の意見を語ったりするようになれば、クライエントはワーカーの態度をある程度認めはじめたといってよい。またクライエントは、ワーカーが彼を権利とニーズをもった一人の個人として尊重していると感じるようになれば、ワーカーから理解されたという感覚をもつようになる。とりわけクライエントは、自分自身について、また、援助を求めざるをえなくなった事情について、あるいは彼の現状に関して抱いている感情を、ワーカーから受けとめられたと感じるときに、理解されたという感覚をもっとも強くもつものである」。
ケースワークの原則 38~39Pより抜粋)

もしクライエントが、ワーカーから十分な配慮をはらってもらえていないと感じるとすれば、クライエントは「しばしばもっとも重要である主観的な感情を表現せずに、客観的な事実を羅列するような反応を示すだけにとどまるだろう」
(ケースワークの原則 39Pより抜粋)

クライエントがワーカーから個人として認められていると感じたり、また自分の問題を理解されていると感じられるようになれば、彼は援助関係に自ら参加してくるだろう。つまり、援助関係が形成できるか否かは、われわれがクライエント一人ひとりを個人として捉えられるか否かにかかっているのである。
(ケースワークの原則 40Pより抜粋)

援助がうまくいっていようと行き詰っていようと、そこにはさまざまなワーカーの動機が入り交じっていることは事実である。だからこそ、他者を援助する上で不可欠な要素の一つは、われわれが自分を理解し、自分自身と向き合うことである。
(ケースワークの原則 41Pより抜粋)

人間を理解する上で必要であると指摘されてきた事柄は、面接を行う者にも当てはまる。なぜなら、面接者も一人の人間であり、面接者も意識的な動機のみならず、無意識の動機両価的感情(相反する感情:アンビバレンス)偏見をもっており、また客観的に判断して自分の行動をとることもあれば、主観的な判断にもとづいて行動することもあるからである。つまり面接者は、自分があらかじめ身につけてきた態度を被面接者との関係にも持ち込んでしまうものであり、それによって、援助関係は重大な影響を受けるのである。また、面接者には、自分が抱いている感情は他人も同じようにもっていると捉える傾向がある。その結果、面接者はクライエントの情況や問題に関して重大な誤解をもつことになりやすいのである。
(ケースワークの原則 41P より抜粋)

クライエントは、自分にとってもっとも重要な関心を、大声で話したり、はっきりとしたかたちや正式なかたちで表現したりすることはない。むしろ彼は自分の関心を物静かな態度で、また躊躇しながら、あるいは関心を微妙に隠したりしながら、表現するものである。したがってわれわれは、クライエントの話の内容ばかりでなく、彼が話さない事柄にも注意深く耳を傾けるときだけ、援助を進める上で役にたつ資料を収集することができるのである。またワーカーは、クライエントの表情、視線、手の動き、姿勢、あるいはためらいがちな話し方や言いまわしなど、言葉によらない表現を観察することによって、クライエントの個別性を理解することもできる。クライエントは、話したいことすべてを話せるわけではない。しかし、彼は態度を通じて、知らず知らずのうちに、苦痛をさほど感じることもなく、彼自身を表現しているものである。
(ケースワークの原則 43P より抜粋)

F.Pバイスティック著 尾崎 新・福田俊子・原田和幸訳「ケースワークの原則」誠信書房 参照

自己点検
  • 外面的に同じような状況に見えても、人それぞれ育ってきた環境が違い、価値観も違う。今目の前にいる人は世界に一人しかいないという事を肝に銘じておかなければならない。
  • 援助がパターン化していないか。
  • 偏見や先入観にとらわれていないか。
  • 自分のペースで話を進めていないか。(沈黙を恐れない)
  • 「忙しそうですね」といわれていないか。
  • ひと手間を惜しんでいないか。


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