ケアマネジャーという仕事


秘密保持の原則 ※対象者をクライエント、援助者をワーカーと記載しています。

要約


クライエントの個人的情報・プライバシーは絶対に他方にもらしてはならないという考え方。

いわゆる「個人情報保護」の原則。他方に漏れた情報が使われ方によってクライエントに害を成す可能性があるため。


基本的なニーズ


クライエントは、自分に関する内密な情報を、できるかぎり秘密のままで守りたりというニードをもっている。彼らは、自分の問題を、近隣の人や世間一般の人びとに知られたいとは願っていない。また、自分の評判を捨ててまで、社会福祉機関から援助を受けようとも思っていない。
(ケースワークの原則 21Pより抜粋)

主な内容


秘密を保持して信頼感を醸成するとは、クライエントが専門的援助関係のなかでうち明ける秘密の情報を、ワーカーがきちんと保全することである。このような秘密保持は、クライエントの基本的権利にもとづくものである。つまり、それはワーカーの倫理的な義務でもあり、ケースワーク・サービスの効果を高める上で不可欠な要素でもある。

しかし、クライエントのもつこの権利は必ずしも絶対的なものではない。なお、クライエントの秘密は同じ社会福祉機関や他機関の他の専門家にもしばしば共有されることがある。

しかし、この場合でも、秘密を保持する義務はこれらすべての専門家を拘束するものである。
(ケースワークの原則190Pより抜粋)

クライエントが社会福祉機関に援助を申請するとき、彼は自分や彼の置かれた情況について、またその情況に関連する何らかの事実について、情報をうち明ける必要があることを知っている。それらの事実とは、たとえば、自分以外の誰にも知られたくない心の奥底に秘めた感情であるかもしらないし、友人や隣人に知られたら、彼の個人的な評価を著しく傷つけ、破壊してしまうような過去の行動についての事実であるかもしれない。また、それは彼を困惑させるような「外聞をはばかる一家の秘密」であるかもしれない。

援助を求めるとき、クライエントは暗黙のうちに、これらの情報をワーカーにうち明ける必要があることを知っている。しかし同時に、彼はこれらの情報が援助者以外の人間にもれることはないだろうとも考えている。明らかに、クライエントは援助を受ける代わりに、秘密がもれて彼の評価が壊される事態になることを望んでいないのである。

クライエントは、以上のような理解をもちながら援助関係に参加してくる。それゆえ、ワーカーがクライエントの秘密情報をきちんと保持することは、信頼感をともなった援助関係を形成する上で欠くことのできない一つの要件である。もし、ワーカーが秘密を保持していないこをにクライエントが気づけば、援助関係はたちまちのうちに破壊されるだろう。
(ケースワークの原則191Pより抜粋)

うち明ける相手に扱いを一任した秘密の情報とは、前もって、秘密をうち明ける人とうち明けられる人のあいだで、暗黙の、あるいは明確な形で、秘密を漏らすことはないという信頼感が形成された上で、うち明けられた情報のことである。この種の情報のなかには、約束や信頼が交わされていない状態で伝えられた秘密情報が含まれることもあるだろうし、含まれないこともあるだろう。

うち明ける相手に扱いを一任して伝えられた情報は、その情報が中傷としての性質をもたぬときでさえ、うち明ける人とうち明けられる人とのあいだに信頼する・されるという契約が取り交わされている。

ワーカーは、秘密は当然守ってもらえると信頼しているという暗黙の契約から生じる倫理的義務を負っている。

われわれは、社会福祉機関を訪れる人びとのプライバシーを尊重し、保護しなければならない。また、われわれは彼らが提供してくれる情報を責任をもって扱い、彼らとのあいだに信頼感を醸成してゆかねばならない
(ケースワークの原則195〜196Pより抜粋)

稀な場合であるが、その秘密が異例なものであるときには、秘密を集団で共有することについて明確な方針をつくるよう話し合っておくことが望ましい。あるいは、話し合っておくべきである。仮に、クライエントがある事実を記録に記載されることを拒み、社会福祉機関がその情報なしでも援助を遂行することができるのであれば、その事実は記載すべきではない。あるいは、もしクライエントが記録することに異議を唱えてはいるが、その情報が援助にとって不可欠であるときは、ワーカーはクライエントがそれでもその機関に援助を求める気持ちがあるのかどうかをクライエント自身で決定するよう、そのことを十分に説明する必要がある。

集団で秘密を共有するとき、もっとも難しい倫理的な問題は、機関内および機関外のどの範囲まで情報を広げて共有すべきかという方針を確立する課題である。福祉機関の管理者がこの方針をつくり責務を負っている。社会福祉機関は、秘密の情報を機関内で保持するにあたって、情報を共有すべき人びとの範囲を決定し、それらの人びとがどの程度情報を必要としているかを明らかにする方針を作成する必要がある
(ケースワークの原則198Pより抜粋)

クライエントは、社会福祉機関のサービスを利用している最中でも、援助終了後でも、彼ら自身の個人情報を守る権利を持っている(ただし、この権利は例外的な状況においては放棄しなければならない可能性もあるが)。われわれがクライエントのこの権利をきちんと認識するということは、以下の諸原則を遵守することである。

  1. われわれは、クライエントに関する情報を得ようとするときは、まずクライエントを情報源とすべきである。また、クライエントに関して求める情報は、サービスの提供にとって必要最低限の範囲にとどめるべきである。
  2. 機関内に保存されているクライエントに関する情報を開示するときは、関係者だけに、またサービスの提供上必要な範囲にとどめるべきである。
  3. 外部の機関や個人に情報を提供するときは、クライエントの承諾を得るとともに、情報の提供先はクライエントの承諾を得た範囲内にとどめるべきである。
  4. 記録には、サービスを提供する上で必要最低限の情報だけを記載し、保存すべきである。また、福祉機関が何らかのかたちで記録を活用するときは、クライエントの同意を得るとともに、活用方法を機関全体によって決定すべきである。
(ケースワークの原則207〜208Pより抜粋)

クライエントに、彼のパーソナリティーや環境に関して、たとえつらい痛みを感じるような事実であってもそれを明るみにもち出し、その問題について建設的に取り組もうとする安全感を与えるのは、秘密が保持されているという信頼感が醸成された雰囲気なのである。

たくさんの小さなことの積み重ねがこのような信頼感を徐々に醸成してゆく。小さなこととは、たとえばクライエントへ郵便物を発送する際に、社会福祉機関名やあえて伏せて書かないとか、家庭訪問する際に機関名がペイントされた車は使わないなどの気遣いである。また、待合室でクライエントを呼び出すとき大声で名前を呼ばないとか、他人に聴かれる心配があるときには直感的に声を低くするなどの配慮でもある。これらは、クライエントとのあいだに信頼感を醸成してゆく小さなことのわずかな例にすぎない。

もっとも大切なことは、人間関係における日常的な礼儀を専門的レベルまで高めようとするワーカーの内面の態度である。
(ケースワークの原則210Pより抜粋)

F.Pバイスティック著 尾崎 新・福田俊子・原田和幸訳「ケースワークの原則」誠信書房 参照

自己点検
  • 秘密保持を意識しているか。
  • 個人情報の使用にあたってクライエントに不安をあたえていないか。
  • 個人情報の管理はしっかりできているか。
  • 電話での問い合わせに用心しているか。


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